再生医療は世界中から注目を集めている医療分野
再生医療は、今まで様々な技術を用いても不可能とされてきたことを可能に出来るということで、世界中から注目を集めている医療分野です。
人の身体はちょっとした傷なら綺麗に無かったかのように元通りに戻ります。しかし、度を超えると跡が残ってしまったり、あるいは損傷を受けた部位がなくなるという事態が起こります。
胎児期に作られ、それ以後は自分で再生や修復を行うことが出来ない部位を、科学の力で培養し、人に移植するというのが、再生医療です。 実際には、四肢や耳などの部位の他に、心筋梗塞で壊死してしまった組織や目の網膜、歯の治療に至るまで、様々なものに活用することが出来ると期待を寄せられており、研究でもある程度の結果を上げることができるところまできています。
用いる手段は様々です。クローン技術を使った動物を利用したり、組織の一部を採取してそれを特殊な培養液に浸して増やしたり、一時期韓国の教授が不正な証拠を論文に用いて発表したとして有名になったES細胞やiPS細胞を使ったり、これから研究が進むにつれて、もっと増えるかもしれませんし、適さない手法が徐々に淘汰されて統一されるかもしれません。 基本的にはどの技術も、現在のところ、研究室の設備の中で代替する組織が作られ、手術によって必要としている患者に移植されるという手法をとります。
再生医療で成功を収めている例、皮膚
実際に再生医療で成功を収めている例には、例えば皮膚があります。今まで火傷などにより大きな損傷を被ると、顔などの社会生活に重要な役割を持つ部分を優先的に選び、背中などの目立たない部分から自分の皮膚を移植するという治療を行うか、人工皮膚を用いるのが普通ですが、毛穴や汗腺、伸縮性などの機能が再現されるわけではありませんので、元通りというわけではありません。
また、心臓などの臓器となると、人工物、あるいは他人のものを移植するという行為から、自己免疫に関する問題を引き起こします。自分の物を使うには、どこかを無くす必要があり、人工物や他人の物を使うにも、機能回復には問題がつきまとい限界があるというのが今までの医療だったわけです。
しかし、現在研究されている皮膚の再生医療では、現段階ではまだ不十分とはいえ、毛穴や汗腺の再生が可能となっており、しかも土台に使われ、培養されるのは自分の細胞なので、免疫作用も起こりません。
例えば、角膜も、従来ではドナーを募り、移植するほかありませんでしたが、再生医療の研究が進んで、片方の目が健康であればそこから、両方患っていれば幹細胞の多い口腔粘膜から細胞を採取して培養できる方法が確立される可能性が高くなってきています。
再生医療が生活に身近な医療となる日は時間の問題
他にも、顎の骨の細胞を採取して培養することで、完全な歯を作り出すことに成功した例が獣医学の世界で報告されていたりします。実例として、今まででは治療できなかった融合不全の骨折を再生医療で治したという犬もいます。
再生医療は、今までの医療技術を覆すほどの革命を起こす可能性を秘めています。実用化にはまだまだ時間が必要ですが、私たちの生活に身近な医療となる日が来るのは時間の問題でしょう。